世界の歴史 第10巻

世界の歴史 第10巻

(ISBN:4422202502)
最終巻読了。なかなか満足のいく内容で大変良かったです。この手の本を読破したのは恥ずかしながら初めてなので感無量ってこともあるし。で、個人的に特に良かったのは2点。1つは同種の本と比べて「平易なテキスト」「広めの余白」「多めの図版」のおかげで視覚的に読みやすかったこと。2つめはテーマが明確(最も多くの人々に、最も重大な影響を与えた出来事だけを取り上げ、その関連性を示す)で内容が絞り込まれており、一貫性があるので物語のように読めたこと。通史というと、ただ事実を列挙しただけのものしか目にしていなかったような気がしたので、とても新鮮でした。イギリス関連の記述に多少偏りを感じましたが、まあ許容範囲かと(著者がイギリス人であることをふまえると、全体を通して十分な客観性は感じられたし)。


あと、著者のロバーツ氏がこの日本語版シリーズを脱稿後に死去されたということを読了後のあとがきで知って、なんとも言えない感慨を覚えました。有史以前から2003年のイラク戦争までの長大な人類史の後に続くように、著者自身も死去という形で歴史の一部になったような気がしたからです。大げさかもしれませんが、歴史の連続性をここまで身近に感じられたのは今回がはじめてかも。なもんで、柄でもなく感傷的な気分になってしまいました。